俺と妹は四つ歳が離れてる。真ん中に妹のほうと年子の弟がいて、どっちかというと断然妹よりも弟と話す機会が多かった。歳が四つ離れてるかだけあって、しかもさらにそこに男女の差も加わったりして、妹の思考とかはマジに意味がわからない。一人っ子のやつとか同性の兄弟だけしかいないやつにはこの感覚は理解できないんだろう。事実、一人っ子の同級生に妹の話をすれば、はあ?って感じの反応をされた。まあ結局理解なんてする気がなければできないわけで、俺には妹を理解する気がない。妹も俺に理解されたいわけがない。以上完璧な永遠に交わらない方程式ってやつが完了する。

そしていままさに、という状況だ。家で見掛ける限りいまどきにしては無愛想でしゃべらない妹。煙草を食んでいきなり家にきたかとおもえば、ツレが忘れていったエロ本を読む俺の腰に跨がってきた。短いスカートから剥きだしの真っ白くて細い太股。無防備に俺の意識を刺激するわけだ、だって俺足フェチだもん。

「ねーお兄ちゃん」
「なんだい妹クン」
「セックスしようよ」

まだ飲み干していない俺の缶コーヒーの中に妹が煙草を入れた。うわおまえなにやってんの。いまたぶん30円くらいが無駄になったよ。なんで30円くらいかっつーとね、100円の缶コーヒーの70円分くらい飲んでたから。あいにく俺の部屋には喫煙者のための灰皿がない。俺が吸わないからね。友だちは吸うけどそいつらも缶コーヒーとかを灰皿代わりにしてる。非喫煙者の俺が喫煙者のために灰皿を買うことはしない。

そんなことを考えてると妹の唇が俺のそれに押しつけられる。柔らかい感触。あー悪くないかも。流される。セックスしよう、だっけ?また突拍子もない。つーかおまえいつからそんな淫語覚えたのお兄ちゃんかなしい。口の中に舌が入ってきて、あ、こいつ本気だとなんとなくヤバい気になる。危機反応がたぶんすげえ遅い。だってまだ17で高校生の妹にセックスアピールされたらふつうの兄貴は心臓飛び出るくらいびっくりするとおもうんだよ。え、もしかしてふつうなの?俺のほうが異常?だって妹だよ妹。まあ妹って意識は超薄いけどね。

「あーうん、とりあえず降りてくんない?」
「お兄ちゃん騎乗位嫌い?あたしなんでもイケるから平気だよ」
「べつに嫌いじゃねーけど。…いや、つーか聞いてないからね」
「もしかして女いるとか?いいよべつに」
「なにがいいのかさっぱりです」
「妹とシテるっつったら浮気に入んないよ」

だから平気、大丈夫だよとわらう妹。うーん、果たして妹とのセックスは浮気に入るんだろうか。一応ほんとうに血は繋がってるわけだから、妹とのセックスもある意味で生殖活動なわけがない。だってそれしたらヤバいだろ。だったらセックス自体しなきゃいい話。カチャカチャと音がしてダルいなとおもいつつ下をみる。やけに爛々とした妹が俺のベルトを外してる。妹のシャツの隙間から谷間が見えて、おまえ育っちゃったんだねお兄ちゃんかなしい。あ、これ本日二回目だね。それにきっちり反応する俺の息子。自重を覚えられないまだまだ若い俺。たぶんさ、この状況が、俺がもしもずっと妹と一緒暮らしてたんだとしたら、真面目に妹を止めるとおもうし、超マジで焦るとおもうし、正直気持ち悪いとかおもうかもしれねーよ。でも、俺はあいにく中学んときから妹と離れてたし顔突き合わせてたのは夏休みとか春休みとかいう長い休みの間だけだったし、最後のほうとか実家に帰ることなんてしてなかったからね俺。家で暮らしてた期間よりも外で暮らしてた期間のがずっと長い俺にとって妹ってなに?肉親?ってすげえ薄い感覚しかないのだ。これって俺だけ?弟は妹をちゃんと妹として見てるっぽいよな。やっぱ俺だけ?これが四つ差の現実なのかも。それの証拠にこのまま流されんのも悪くないわっておもってる。

「兄妹ってさ、相性いいのかなほんとに」
「これから証明してあげる」
「うーん、遠慮しとく」
「でも勃ってるよ」
「あいにく聖人君主じゃないからね」
「じゃあフェラだけ」
「あー…」
「大丈夫、あたしすごい上手いよ」

だからなにが大丈夫なんだって話。でも下半身を襲う生暖かい感覚に脳がとろける。ヤバい気持ちいい。すげえ早くイッちゃいそう。俺早漏じゃないよ、一応言うけど。これでも持つほう、たぶん。上下する妹の頭に手のひらを当てて髪をすく。さらさらした感覚が指の隙間を通った。セックスをしないって俺の脳が下した決断をだれか褒めてほしい。水音がやけにリアルで目のまえにいるのがほんとうに俺の血の繋がった妹なのかと疑う。いやちがうか、いつでも俺は疑ってたかも、思い返せばね。でも無理に思い返す必要もなかったわけで、そうすりゃ俺の爛れた欲望も噴き出すことなくしまわれていたにちがいない。

「…そんなに美味い?」

だってそうだろ、そうおもわなきゃやってらんねえし。そうじゃなきゃ小学生で恵まれた親元から離れたいなんておもうもんか。初めての夢精で相手が妹だなんて自己嫌悪もいいところだ。オカズがずっと妹だなんて笑い話だろ。顔をあげて俺を見てわらう妹。すげえエロい。なんつーかエロい。そんな娘に育っちゃってお兄ちゃんかなしい。これ三回目ね、もうそろそろやめる。

「ミックスジュースの百倍美味しいよ」

ああもう、俺の盛春返せ馬鹿野郎。


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